あひみての

おやすみきみはやさしい子

第一印象が派手なワンピースを着た気のキツそうな女。その次の印象は口が悪い女。 「よぉ、クソ餓鬼」 「ババア……」 「誰がババアだクソ餓鬼」 小学校から帰ってき…

あひみての

ブルーエクスタシーの現実

キャバレーでの勤務が終わって、今日は寄り道せずに帰ろう、と決意をして店を出る。先輩キャストたちにお先に失礼します、と言えばみんなまた明日ねー、なんて言葉を返し…

あひみての

慈しみの溶けない時間

二級の任務に行ってくると言って建人と雄を見送れば、雄だけ動かなくなって帰ってきた。人が死ぬのを見たのはそれが初めてで。朝までいつも通りの会話をしていたはずなの…

あひみての

深夜とハイフィーバー

いつも通り消灯時間に眠ったはずなのに、なんとなく目が覚めて水を飲みたくなった。部屋に備え付けられている時計を確認すると時刻はまだ一時で。普段は朝まで起きないく…

あひみての

からっぽを含んで夜は萎びる

都立呪術高等専門学校において入学式や卒業式、修了式が盛大に行われることはない。四月の第一週の木曜日になると新入生は登校することになっていて、入学式が行われない…

あひみての

迷い子はランプに灯をともす

高校を卒業すると同時に甚爾は禪院家という腐った溝川の中のような世界から出ていくことに成功した。気がかりがなくはなかったが、腐った世界にいつまでもいる義理はない…

あひみての

ノット・ニュートラルな町

以前世話になった――と言っても甚爾が物心もついていないくらいのときのことらしいが――という父親の弟である叔父に子どもが生まれたというので、祝いに行こうとその人…

七海建人

鈍痛とくるぶしソックス

今日もわたしの周りをよくないものが包み込むように漂っていく。多くなったり少なくなったりする〝これ〟は生まれてから今日までずっとわたしの側にあったものだ。よくな…

呪術

アイ/アム/ロンリー

「はーい、今日から一週間だけみんなと一緒に授業を受けるさんです。みんな仲良くするように!」 五条先生が連れてきたのは、釘崎より五センチほど小柄で普通の女の子、…

呪術

だからもう夏なんていらない

茹だるような暑さの中、呼び出された場所に歩いていけばわたしを呼び出した張本人がすでに居た。悠長にソーダ味のアイスを食べている姿に僅かな苛立ちを覚えて、距離を詰…