ボーダーに復帰して以来、学校への申請等は済んだけれど、そういえば佐鳥くんや時枝くんにはまだ説明していなかったことを思い出す。聞かれたら答えたらいいか。最近の昼食はもっぱら烏丸くんや時枝くんと食べていた。今日はそこに佐鳥くんが加わって、四人でご飯を食べる。ボーダーに入ったことを言うと、あんなに敵意を向けてきていた女子たちは大人しくなった。よかった。天気がいいので、屋上で食べよう、と佐鳥くんが提案してくれたのでみんなで屋上に行く。風が少しあるけれど気持ちがいい。
「今日は天気がいいねぇ!」
「うん、気温もちょうどいい感じだよね」
「屋上で食べるのってこんなに気持ちいいんだね」
それぞれのお弁当を突きながら、箸を進める。途中おかずを烏丸に奪われそうになったけれど、何とか死守した。今日は防衛任務だから勘弁してよね。
「あれ!?みょうじちゃんじゃん」
「米屋先輩」
話しかけられて振り返ると、米屋先輩と出水先輩と見覚えのない黒髪の先輩がいた。とりあえずお辞儀をすると向こうも頭を少し下げてくれた。いい人そう。
「え、みょうじさん出水先輩たちと知り合いなの!?」
「はァ?なに言ってんだよ佐鳥。この子玉狛じゃん」
「へぁ!?」
「ぶふッ」
佐鳥くんの反応が面白くて思わず笑ってしまった。あたしの反応がお気に召さなかったのか、佐鳥くんがなんなんだよー!と喚く。その言葉にごめんごめん、と謝りながらボーダーに入隊したことと玉狛支部に配属になったことを告げた。佐鳥くんも時枝くんも驚いた顔をしていて面白い。でも、時枝くんが納得したような顔をしていった。
「最近のみょうじさんちょっと変わったなって思ってたけど、そういうことだったんだ」
「そういうことだったんです」
まぁ、変わったというよりもあたしの中では元の人格が戻ってきただけなんだけど。佐鳥くんが興味深そうに質問してくる。
「え、じゃあみょうじさんも玉狛製のトリガーなの?」
「まぁ、一応?」
「みょうじちゃんのトリガーずるいよな。トリガーチップ同時に三つ動かしてたよな?」
「あ、気づきました?」
あの一回だけの戦いでまさかそこまで気づかれるとは思わなかった。自分のトリガーを取り出して、みんなの目の前に出す。
「俺たちのとは少し違うよな」
烏丸くんがあたしのトリガーを手に持って考察しているようだった。
「旧ボーダー時代に作ってもらったものなので、特別仕様なんです」
「へぇ!今度またいろいろ聞きたいことあるし一緒に練習しねぇ?」
「出水先輩なんだかんだA級一位だからやる価値はあると思うぞ」
「そうなんだ?」
だからあんなに強かったんだねって言うと、それに勝っておいてなに言ってんだって顔をされた。解せない。
「出水先輩に勝ったの!?」
「一応?」
佐鳥くんの顔が真っ青になったのを尻目に、出水先輩たちと話していると予鈴が鳴った。
「おい、そろそろ戻るぞ」
ずっと黙っていた黒髪の先輩が声を発した。びっくりした。話せない人なのかと思ってた。
「待てよー!」
「じゃあな、京介。みょうじちゃん」
「ちょ、佐鳥は!?」
「うっせーぞ佐鳥!」
お前らも遅刻するなよ!と声を掛けられて先輩たちは屋上を後にした。あたしたちも戻ろう、という話になって屋上を後にする。教室に向かって歩いていると、佐鳥くんから質問がいろいろ飛んできた。たまに時枝くんからも。それに答えていくと、教室に着いた。佐鳥くんと別れる。烏丸くんと時枝くんと教室に戻って自分たちの席に着く。今日の防衛任務は桐絵たちと一緒だからうれしい。まだまだ教わることがあるしね。防衛任務のことを考えながら午後の授業を受けた。