修練

「こんな感じです」
「器用なもんだな。何回やっても失敗するわ」

本部のトレーニングルームで出水先輩と合成弾の練習をする。と言っても、出水先輩はすでに合成弾ができるので合成弾の合成弾の練習だけれど。まず両手にトリオンキューブをそれぞれ作って、そのトリオンキューブをそのままにさらに両手で二つ作る。全部で四つのトリオンキューブを顕現させて手の中でそれぞれ一つに合成する。出水先輩もあたしの真似をしながら見よう見まねでやろうとするけど、うまくいっていないみたいだ。

「理論はわかるんだけどうまくできねぇな」
「本部のトリガーでも理論的にはできそうですけど、玉狛のトリガーじゃないとあたしもできないんですよね」
「そんなに違うモン?」
「違いますね」

一回あたしのトリガー使ってみますか?と聞いて、使ってみたいとのことだったので一度トレーニングルームから離脱して、お互いのトリガーを交換する。もちろん服の設定は出水先輩が換装しても大丈夫なようにジャージ型に変更しておいた。交換してトレーニングルームに再度入る。

「おおーA級一位の隊服だ」
「思いの外似合ってんな」
「そうですか?」
「おー」

真っ黒のロングコートの隊服に違和感だ。普段は橙色の服を着ているし。ひらひらしててちょっと邪魔かも。これ着てよく出水先輩も戦えるな。先輩があたしのトリガーを使って合成弾の合成弾を作成した。結構うまくできたんじゃ……?

「おおー!こんな感じなのな」
「はい」
「確かにみょうじのトリガーならすぐできるけど、トリオン消費半端なくね?」
「まぁ、あたし仕様なので。それ」
「だろうな。これ使っておれは戦えねーわ」

あたしのトリガーはあたしの余りあるトリオンを無駄なく使うために作られたものだ。普通のトリガーだとトリオンが流しすぎてしまって、トリオンコントロールに影響が出てしまう。

「本部のやつよりかなり多いよな?みょうじのやつ」
「出水先輩たちが使ってるのよりは多いと思います。あたしのトリガーを元に汎用化してそのトリガー作ったって聞いたんで」
「やっぱり」

前から思ってたけど、みょうじってトリオン量すげーあるよな。二宮さんとどっちが多いんだろう、なんて呟く出水先輩に二宮さんって誰ですか?と聞き返す。

「B級一位の隊長だよ。実力はA級だし個人総合ランク二位の射手」
「へー、射手で二位ってことはかなりトリオンありそうですよね」
「そうなんだよな。多分おれより多い。お前といい勝負してると思うわ」
「ふーん」

そんな人がいるのか。会ってみたいかもしれない。あたしの考えていることが分かったのか、出水先輩が言う。

「今度紹介してやろうか?」
「いいんですか?」
「今日の礼だよ」
「じゃあ、ぜひ」

出水先輩に二宮さんとやらを紹介してもらえることになったのはありがたい。射手としてブランクがありすぎるからできればいろんな人と戦って勘をなるべく早く取り戻したい。

「あ、出水先輩。今から模擬戦してもらえません?」
「おー、やろうぜ!負けねぇよ?」
「あたしも負けないですよ」

個人のランク戦でポイントを稼いで早くA級に上がりたいので。